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2008-10-21

ラグナロク、あるいはさびれた公園の話

さびれた公園。たそがれ時には、人の気配さえしない。
さっきまでボールを蹴って遊んでいた子どもが着ていた、真っ赤なユニフォーム。
ヨーロッパを制した、魅力と結果を併せ持つ国。
(そういえば、オレもあそこに憧れた事があったな)
ぼんやりとそう思いながら、ブランコにのって、軽く地面を蹴ってみる。
「ずいぶんくたびれた音がするな」
隣に現れた男は、そう言って笑った。
「オレがいる頃は、ピカピカのブランコだった。この公園も、賑やかだったしな」
男の言葉に(この人は、相変わらずだな)と思う。
「なんだ? 言いたい事があるんだったら、口に出せばいいだろう?」
急に胸ぐらを掴んできた。怖いけれど、懐かしい感触。
「昔からそうだな。だからオレは、お前を外した」
消せない、苦い記憶。でもあれがあったからこそ・・・。
「冗談だ。もうオレは、ここともお前とも関係ない」
男は笑って、手を離した。
そして振り返りもせず、去っていく。
赤鬼の後姿に、あの湯気のような熱く沸騰したオーラはもうない。

公園の外から、誰かが手を振っている。
あの親しげな笑顔には、見おぼえがある。
そうだ。オレはドイツであの人の信頼に応えることができなかった。
だから、(今度こそ)と思っているんだ。
あなたの事を、悪く言う人たちも周りにはたくさんいる。
でも、オレはやはり神だと思っているんだ。
いくら叫んでも、もはや届かぬ思い。

「苦労してるみたいじゃないか」
頭の上から、そんな声がした。
見上げると、自分とそう歳も変わらないであろう男の姿があった。
「あの頃、やっぱり辛かったですか?」
問いかけると、口元を緩めてみせたが、答えは返ってこない。
(相変わらずだな、この人も)
そう思う。
すぐそばには、さっきまで遊んでいた子どもが忘れていったボールが転がっている。
喋るのが苦手なら、ボールでも蹴ってくれたらいいのに。でもきっと、
(オレは引退したんだから、もうボールなんて蹴らないよ)
なんて言うのだろう。
(あなたはやっぱり卑怯だ。ドイツのピッチで寝っ転がらなくても、
本当はまだ十分やれたでしょう?)
喉もとまで、出かけた言葉。
オレはここでも、口をつぐまねばならないのか。
男はクールさを装いながら、ボールになど目もくれず去っていく。
どこに行くのか尋ねても、(オレはあてのない旅の途中だから)
などと言われるのがオチだろう。

目の前を過ぎていった、様々な出会い。
衝突、信頼、不和。
楽しい事ばかりではなかったけれど、代わりに成長と闘志を手に入れる事ができた。
今のオレは、じゃあ一体何のためにこの公園に戻ってきているのだろう?
中村俊輔はまた苛立つように、地面を蹴った。
ブランコは、気持ちをいっそうささくれ立たせるような軋んだ音をたてて、小さく揺れた。

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