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2011-02-10

以前から書きたかったこと~オシムと国見について~

本当であれば前回からの流れで2007年のアジアカップについて
まとめようと思っていました。
けれども、急きょ変更。
やっぱり今書きたい事を書かないと、熱が無い。
伝えたい内容も、ちょっぴりズレてくる。
という訳で、今回は以前から書きたかった事を。

=========================================

'80年代、ACミランがヨーロッパのサッカーシーンを席巻し始めた頃、
日本にも大きな変化があった。
高校サッカー界において、長崎の国見高校が凄まじい勢いを
見せ始めていた。

(何だ、高校サッカーか)
と言わないで欲しい。
Jリーグ以前の日本サッカー界のトップは、日本代表でもJSL
(日本リーグ)でもない、高校サッカーだった。

国見のサッカーは

”走る(豊富な運動量)”
”ピッチの選手たちが、さまざまな役割をできる”


いかがだろうか?
前者はもちろん、後者もこの時代は”ポリバレント”
”ユーティリティー”などという小洒落た言葉こそ使わなかった
けれど、オシムが繰り返していたキーワードそのものではないか。

国見ではないが、小嶺忠敏監督がそれ以前に勤務し全国制覇の
礎を築いた島原商業では、サイドバックの吉田という選手が
サイドを縦横無尽に駆け上がり、見る者を驚嘆させた。
今では当たり前の光景かもしれないが、まだ守備の選手がそこまで
運動量豊富に自分のポジション以外の仕事をするというプレーは、
浸透していなかった。
国見ではその吉田という選手の記憶が霞むほど、ピッチ上のほぼ
全部の選手たちが、どんどん前に走り込んでいた。

私がいた高校のサッカー部でも、(こういうサッカーを目指すんだ)
と練習試合の前に国見の試合を見せられたりしていた。
その際に監督が「後ろの選手もどんどん前を追いこしていくだろう?
これを意識するんだ」と話したのを、今でも覚えている。
地方の無名弱小校だけがこうだった訳ではない。
全国大会の常連校の連中は「死ぬほど毎日走らされるんだ」とよく
話していた。豊富な運動量で勝ち進むサッカーを行うため、いつも
地獄のようなトレーニングをしていたのだ。

もちろん、全国規模でどのぐらい実践されていたか? までは把握できない。
ただ磯貝洋光といった多くのスター選手を揃えた帝京や、ポテンシャルの高い
選手が豊富な静岡の強豪校のようなサッカーは、何処でもはできない。
しかし選手の供給では恵まれているとは言えない九州の国見高校が
成功しているのを見て、多くの学校でその指導、スタイルが取り入れ
られていたのは間違いないだろう。

つまりは”走る”とか”選手がさまざまな役割をする”といった
考えは、オシムがジェフの監督に就任するずっと以前にあったし、
実践もされていたのだ。

ただ日本サッカーがプロ化し急上昇している頃、多くのサッカージャーナリスト
が”国見バッシング”を始めたという。
それにより何が生まれたかと言うと、フラットスリーなど部分的な戦術論、
バイタルエリアなど知識偏重の現場で、基本であるはずの”走る”という
行為は蔑ろにされ、選手たちも自ら考えてのダイナミックな動きはしなくなった。
オシムがジェフにやって来て(多くの場合は日本代表監督に就任して)、
これらの事に再び注目が集まったのは、嬉しいというより歯がゆい気持ち
もあった。

ところで、”ファンタジスタは不要”と多くのメディアが騒ぎ軋轢が起こる
のを虎視眈眈と狙っていた中村俊輔を、オシムは重用した。
国見高校を批判した人達は「体力に頼ってばかり」と言っていたらしいが、
面白い事にここでも其田秀太、永井秀樹といったテクニックと想像力に優れる、
いわゆる”天才”もその才能を潰す事なく、重要な役割を担っていた。

サッカーとは言うまでも無く”バランス”であって、”走る”がキーワード
だからそんな選手ばかりを集め、ピッチに送り出す訳では無い。
メディアの称賛も批判も、この国のサッカースタイルのように猫の目のように
変わり、一貫性がない。オシムの記憶が薄れるにつれ、再びこの気配も漂ってきた。
それが悲しい。

最後に、もうひとつだけ。
「休みから学ぶものはない」
国見の勝利への執念、その裏付けとなる多くの練習も、批判の標的とされたという。
なぜ時代によって、本質的な事の評価さえも変容してしまうのだろうか。
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theme : サッカー
genre : スポーツ

comment

管理者にだけメッセージを送る

No title

忘れた頃にコメントするものです。
オシムさんは、サッカーに関してはごく当たり前というか、当然そうあるべきだということしか言っていませんよね。ちょっと面白い比喩でわかりやすくしようとしてるんだろうと思いますが、メディアや多くの日本人はそれをわかってないから、特にメディアはその比喩の部分だけに飛びつくからね...。

コメントありがとうございます

kaniさん、コメントありがとうございます。

確か以前にも何度かコメントを頂いていますね?
拙いエントリーを気にかけて頂いて、ありがとうございます。

>オシムさんは、サッカーに関してはごく当たり前というか、当然そうあるべきだということしか言って
>いませんよね。ちょっと面白い比喩でわかりやすくしようとしてるんだろうと思いますが、メディアや
>多くの日本人はそれをわかってないから、特にメディアはその比喩の部分だけに飛びつくからね...。

そこがオシムのミス、認識不足のひとつでしたね。
ジェフ時代と違ってたくさんのメディアやファンが飛びついてきて、
(おっしゃるような)予想以上の薄っぺらさを実感したのでしょう。
少なくともこの外野連中のレベルを上げる事は、失敗しましたね(笑)。

No title

時代による進化は大切だと思いますが、時代の流行に乗るのは…。

大切なのは「何を目指し、その為に今何をしなければならないのか」、それを個々が考えることじゃないでしょうか?

その答えは一つではないと言うことです。そんな議論なら楽しくないですか?

「考えて走る」や一瞬にして聞かれなくなった「決定力不足」等、流行語に偏って議論するのは楽しくないです。偏った考えが間違いを犯しやすい

今走らなければならない時もあれば、今技術を付けなければならない時もあるし、戦術理解やシステムも大切でしょうし、今居る立場上の次節の戦い方の共通意識統一、ゲーム中のプラン意識統一も大切ですね!?オシムも「考えて走る」だけを財産にしたかったんじゃないと思うし、美しいサッカーを構築するにあたってのほんの一部分、或いはメディア対応…、或いは日本の端折った(省エネ)サッカーを危惧したとか?浮かれた日本のサッカーに「考えて走れ」と一石を投じてくれたことには感謝しますが、もっともっと期待するものはありました。


管理人さんを不快にさせてしまったかもしれませんね!?一方的ですみませんでした。でもサッカー談義って面白いです。

コメントありがとうございます

Ivicaさん、コメントありがとうございます。

言葉というのは限定的ですからね。
特に文章は一方的なメッセージになってしましますので、伝え方や受け取り方
によって意図しない解釈になる事が多々あります。

> 時代による進化は大切だと思いますが、時代の流行に乗るのは…。

決して時代の流行に乗ろう、という事じゃないですよ。
わたしがサッカーに出会って少なくとも世界規模で一度、
大きな変化がありました。
それが'80年代後半でACミランに象徴されるものでした
(もっと以前の世代だと、オランダのトータルフットボール
の出現などがそれだ、と認識されているのかもしれません)。

日本は文中にも書いたように、当時は高校サッカーが実質的な
トップでしたので、国見のサッカーがモデルに映りました。
ですので今回のエントリーは、選手権のたびごとに、代表監督やJリーグ
のタイトルホルダーが変わる毎に生み出される昨今のマスコミ主導の流行
ではなく、サッカーで本質的に必要な事をさしたつもりです。
「考えて走る」、「あらゆる役割を流動的にこなせる」
はもともと必要だった資質ですが、それが'80年代後半に発生した
”変化(=一過性のトレンドではない)”により一層必要とされる
ようになった、と考えています。

つまりは「オフトが基本的な事を伝え、そこから進化して~」
みたいな日本サッカー史ですが、「考えて走る」とかはそれと
同様の基本的な事で、それはサッカーに関わっていた(る)人は
みんなわかってたんじゃないの? ってのが主題のひとつです。

そのうえでの(戦術、采配、チームマネジメント)については、
一つ一つの試合やチームの変化を解析していかないと見えない
と考えています。
一連のエントリーもまだ端緒についたばかりで、最初に頂いた
コメント

>あのオシムをこれだけで片付けてしまうのですか?

のように、とてもではないですが数回のエントリーではそこまで
辿り着けません(自分でも全然別のテーマが書けないので、
Jリーグが開幕するまでにはある程度まとめよう、とは思って
いるのですが・・・ちょっと目眩です:笑)

No title

サッカーはやはりバランスが重要ですよね。

スター選手がいたからって勝てるわけではありませんし、
チームとして連動できてはじめて強いチームになれるんですよね。

オシムさんが同じようなこと言っていた気がします。

当たり前のことを当たり前のように出来るチームが一番強いんですよね。

コメントありがとうございます

サッカー小僧 ほったさん、コメントありがとうございます

> サッカーはやはりバランスが重要ですよね。
> 当たり前のことを当たり前のように出来るチームが一番強いんですよね。

この土台があって戦術、戦略、マネジメントなどのプラスアルファを出せる
のが監督やチームスタッフだと思います。
そして選手の能力や個性、ですね。

サッカーだけでなくどの世界でも、基礎は共通すると思います。
これがあるものが強く、長続きもするんですね。
(もちろん例外はありますが)
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